映画版『ハンガー・ゲーム』の4部作の中で、個人的に最も好きなのが、『ハンガーゲーム2』(Catching Fire)です。物語が大きくスケールアップし、ワカモノの行動に民衆の心が動いていく様子も、心が動いた理由も、丁寧に描かれています。目を楽しませる煌びやかさも残っていて、ギミックもアクションも豪華です。
他のヤングアダルト作品では長ったらしくて「早送り」していることが多いラブのシーンも、カットニスとピータの絆が強くなっていくにつれ、じわじわ刺さり、目が離せません。
基本情報
原題 | The Hunger Games: Catching Fire |
邦題 | ハンガー・ゲーム2 |
タイプ | SF |
公開日 | 2013年11月22日 |
監督 | フランシス・ローレンス |
脚本 | サイモン・ボーファイ マイケル・アーント |
原作者 | スーザン・コリンズ |
おすすめ度 | 4.5 (1~5点) |
トレーラー
あらすじ
独裁国家パネムで毎年行われる12の地区のサバイバルゲーム「ハンガー・ゲーム」。第74回の勝者カットニスとピータの勝利で、ゲームに収まらないパネム全土を巻き込んだ反乱と革命の火がともってしまう。スノー大統領はカットニスを訪ね、戦争を防ぐためにカットニスとピータの幸せアピールとキャピトルへの感謝表現で、凱旋ツアー中に反乱要因を消火することを約束させるが、事態は悪化する。
この罰として、これまでの「ハンガー・ゲーム」の勝者24人による記念大会の開催がスノー大統領より発表される。
脚本、世界観
前作で脚本に参加していた原作者のスーザン・コリンズはいないし、脚本家も変わってしまっていましたが、そんな事を気付かせないしっかりした脚本でした。
エキセントリックで豪華なキャピトルと貧乏で質素なその他のエリアの対比が相変わらず印象的です。他のヤングアダルト系の作品にはない「ド派手さ」で、貧富の差の悪い象徴とはいえ、見とれちゃいます。
登場人物
前作の豪華メンバーに更に強力な追加メンバが多く参加し、更に豪華になりました。ゲームメーカーのヘブンズビー役にフィリップ・ホフマンを筆頭に、フィニック、ジョアンナ、ビーティ、マグスなどなど。
前作よりも他の参加者の個性や特技などがより活かされた見ごたえのある内容になっていましたし、更にチーム戦が要素が増えていたのも好感です。
アクション、笑い
ゲーム内のギミックやアクションだけではなく、ゲーム外での暴動や、迫害などのシーンも、ショッキングで強い印象を残します。
前作では、ピータの母親がカットニスを指して「第12地区からも勝者がでるかもしれない」とピータに言ったほど強そうに見えなかったカットニスですが、今回は、なるほど競争力がありそうだと思えるアクションを披露してくれました。
映像美
脚本家だけではなく、監督も前作から変わったのですが、この監督は、太陽光や暖炉の光などの「光の使い方」に工夫が感じられました。
音楽
『ハンガー・ゲーム』シリーズ4作品を通して、同じ音楽家(ジェームズ・ニュートン・ハワード)が担当しているのもいいのかもしれません。前作よりも切ないトーンが多く、ストーリー全体の雰囲気をよく伝えていました。
【ネタバレ】ストーリー
独裁国家パネムにおいて、首都キャピトルへの12の地区の服従の象徴ともいえるサバイバルゲーム「ハンガーゲーム」で、恋人のふりをして異例の「2名」勝者を勝ち取ったカットニスとピータ。故郷に戻った後も、表向きは恋人関係を続けながらも、本当にカットニスのことが好きなピータとは裏腹に、カットニスは森で本当の彼氏のゲイルと会っていた。
パネムのスノー大統領は、ゲームの勝利者に与えられるカットニスの新居に訪れ、74回大会の「例外」が誘因となって起こった反乱と暴動を鎮静化するために、ピータとの恋人関係をスノーにも信じられるように見えるようにすることを約束させる。約束が守られない時は、家族の命はないと脅される。
12の地区への凱旋訪問中に必至に演じようとするカットニスの努力にも関わらず、暴動は激化し、ピータとカットニスは婚約を発表する。
故郷の第12地区へ戻ったカットニスは、ゲイルに逃亡を提案するが、ゲイルは乗らなかった。政府は暴動抑止警備隊(ピースキーパー)を強化し、締め付けを強めたが、それは事態を悪化させた。
そしてとうとうスノー大統領は、更なる締め付けの為に、新たなゲームメーカー、ヘヴンズビーの下、過去の12地区の勝者を戦わせる第75年記念大会を発表する。
過去の勝者たちは、それぞれの方法で何とかして記念大会を中止させようとアピールするが、ムダだった。そして、政府に反抗を示す「スノーの白いウェディングドレスを燃やして反乱のシンボルのマネシカケスに変える」ドレスをデザインしたシナは、記念ゲーム開始の直前にカットニスの面前で処刑される。
曲者ばかりの勝者の集まりだが、ゲームが始まると何故か皆カットニスとピータを守ろうとしているかのような行動をとり、チームは大きくなっていった。カットニスとピータは2人でチームから離れようとするが、最後の作戦の途中にピータとはぐれてしまう。別のチームに作戦は妨害され、カットニスは最後の一矢で、会場を崩壊させ、失神してしまう。
目が醒めると、フィニック、ヘヴンズビー、ヘイミッチから、今回のハンガーゲームの参加者の半分はスノー大統領とキャピトルに反乱する革命のシンボルとなるカットニスを救うために行動したと説明する。ジョアンナとピータはキャピトルに残されている事を知ったカットニスは取り乱し、鎮静剤を打たれてしまう。
目を覚ますと、恋人ゲイルがいた。第12地区が見せしめのために破壊されたこと、カットニスの家族はゲイルの機転により命拾いし、第13地区に逃れてきていることなどが語られる。【第2作】
感想
涙なしには見れないというとチープな感じがして嫌いですが、まさかヤングアダルト系の作品にここまで感情移入するとは、自分でも意外でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント