トレッキーから総スカンをくらっている『スタートレック:ネメシス』は、なるほどねって感じの作品でした。
映画版のスタートレックを1から10まで鑑賞し、『スタートレック:ディスカバリー』と『スタートレック:ピカード』が何故あんなことになったのか、分かった気がします。
基本情報
原題 | Star Trek: Nemesis |
邦題 | スター・トレック X: ネメシス |
タイプ | SF |
公開日 | 2002年12月13日 |
監督 | スチュアート・ベアード |
脚本 | ジョン・ローガン |
原作者 | ジーン・ロッデンベリー |
おすすめ度 | 3.0 (1~5点) |
トレーラー
上の日本語のトレーラー、毎回ひどいね。英語版は↓です。
あらすじ
ライカーとトロイがとうとう結婚する。お祝いムードのエンタプライズ号だが、中立地帯のほど近くコラリン系の惑星からアンドロイドしか発しないポジトロニック波。そこでアンドロイドのボディーパーツを回収する。
そこにジェーンウェイ提督から通信が入り、ロミュランの政変と新政務長官シンゾンからの対話の申し出に対応するミッションを受ける。
脚本、世界観
既存キャラを引き立たせるために、ストーリーを犠牲にしたプロットで、好き嫌いが分かれるかな。
新たな要素として、ロミュランの政治的な構造や主星の衛星に住む別種族レムスとの関係、シンゾンの生い立ちなどは、新鮮感があってよかったし、CGもかっこよく作られていました。
登場人物
新キャラ、シンゾン、キモイ。(=名演)
ネクストジェネレーションの映画シリーズは、ピカード船長とアンドロイドのデータのツートップがくどい。
ウォーフ、ジョルディー、バレリーも出演はしていたので、一応ネクストジェネレーションの全メンバー揃っていました。
アクション、笑い
ピカード艦長のゴキゲン四駆ドライブ、レーザーガンシューティング、宇宙戦艦バトルなど1セット揃っていました。GCはキレイでした。
笑いは、ない。
あったとしても、笑えないヤツ。
映像美
2002年の作品ですが、古臭さはないです。フツーにキレイで、フツーにカッコイイ。
音楽
音楽も効果音の使い方も以前のように「うるさすぎる」と感じなくなっていたので、大進歩!
以降、「感想」と「最後に」は、ネタバレ注意です。問題なければ「次へ」をどうぞ。
感想
ライカーとトロイの結婚式が、エンディングじゃなくて、オープニングでした。
トロイの母、ロクサナ・トロイが不参加でした。ネクストジェネレーションの名物ゲストキャラなので、見たかった。
アンドロイドしか発しないポジトロニック派を検知し、ピカード艦長はコラリン系の惑星に降り立ち、ゴキゲンに新探索車を乗り回し、「SFなんだから、普通のカーチェイスとか、やめて」と、ファンに嫌われます。
そこでデータと同じタイプのアンドロイドのパーツを回収し、組み立てるとデータのプロトタイプB4 (before)でした。プロトタイプとか、存在したの?っと騒然。
ピカード船長がいつもの「アールグレイ、ホット」を飲んでいたら、ジェーンウェイ提督から通信が入ります。USSヴォヤジャーでデルタクワドラントに吹っ飛ばされて、7シーズンかけて地球に帰還した、あのジェーンウェイ艦長です。
ピカード館長は、ロミュランの政変後、新しく政務長官についたシンゾンと面談するミッションを与えられます。レムス星人は、惑星レムスのロミュラン恒星の光が届かない側で暮すロミュランの奴隷階級の暗闇の民族で、戦闘能力が高いとのこと。シンゾンは、そのレムス族のリーダーです。
ところが面会したシンゾンは、地球人で、なんとピカード艦長のクローンでした!
髪型が不必要に禿げ頭のシンゾン役のトム・ハーディは、ピカード艦長にしては美しすぎるし、歯並びが悪すぎる。
うん、気にしないようにしよう。
後の方で、ピカード船長の若かりし頃の写真にトム・ハーディ―が写っているんシーンがあるんですが、テレビシリーズのアカデミーの時代のピカードさんは普通に髪の毛が生えていたんですけどね。
レムス人は、ロミュラン人よりもフェリンギ人に似てたかも。歯並びとか。耳が小さくてとんがったグランネガスって感じ。
建物やバトルクルーザー(シミター)の雰囲気や衣装なんかは、「暗闇の民族」らしいダークなかっこよさがあります。
シンゾンとピカード最初の対談では、自分のルーツであるピカード家の事を知りたがったりして、なんだか純粋っぽい一面もありました。
が、何故かトロイに懸想していて、レムス版の強力なマインドメルドで、トロイの精神に侵入して夜這いしてました…
かなりキモイ。
というか、このパート要らない。
そしてこのシーンがなければシンゾン結構好きだったかもしれないのに…
そして任務を離れたいトロイを引き留める船長ピカード、最低。
シンゾンは、ロミュラン人にピカード船長のクローンとして作られた後、計画が中止され、ロミュランの強制労働鉱山でロミュラン人にヒドイ目に合わされているので、ロミュラン人が大嫌い。
そしてそんな彼を救ってくれたレムスを独立させ、さらに惑星連邦まで傘下に収めようと野心的。
しかし、レムスに恩義を感じて家族だと思っている割に、ミスをした味方レムスを簡単に殺しちゃったりして、困惑します。
ところで、コラリン惑星で拾ったデータの兄弟分のB4は、シンゾンらが惑星連邦の情報を引き出すために改造したスパイロボでした。
データはこれを理由にB4を停止してしまいます。
うーん。
データって人権を認められたアンドロイドで、自分は多くの人から助けられて成長してこれたのに、兄弟分のB4を簡単に止めちゃうんだね。
どんびき。
データは「私は成長しようとしているけど、B4はそうではない」と言ってました。
いや、そうかな?
B4はひっきりなしにいろんな質問を投げていて、学習意欲が感じられたけどな~。
学習意欲は感じられるけど、バカだから停止。
それでいいの?
シンゾンは、クローンとしてピカードの年齢に速やかに追いつくように遺伝子設計されていることで、遺伝子の崩壊が始まり、死にかけており、骨髄移植手術をするためピカードを拉致しますが、失敗。
ピカード船長は、急いで惑星連邦との集合場所に向かいますが、レムスの戦艦シミターには敵いません。ピカード艦長の執務室に現れたホログラムのシンゾンを説得しようと試みるものの、シンゾンは取り合わず、「我々(ピカードとシンゾン)の本性を見せてやる。」と言い放って通信を終えます。
シンゾンを最初に担ぎ上げたロミュラン人がピカードの助力に現れ、皮肉にも初の共同戦線が実現してしまいます。
敵の敵は味方ってやつですね。
しかし、すぐに撃破されてしまいます。
シンゾンつえー。
クローキングして見えない戦艦シミターに苦戦するエンタプライズ号ですが、そこに「絶妙に使えない」キャラが持ち味のトロイが、立ち上がり、レムスとエスパー対決を挑み、居場所を割り出します。
「トロイ襲われる」のリベンジ…
エスパー対決は、新鮮でしたが、トロイを輝かせるためにシンゾンをキモキャラにするのは、割に合わない気がします。
乗り込んできたレムスと銃撃戦&肉弾戦でライカーを活躍させるも、エンタプライズ号は壊滅状態。
ライカーの最後の一撃は、あれかな。スタートレックIIIのカーク艦長の「I have had enough of you!」キックだったよね。そこいらじゅうに既視感を埋め込んでいくネメシス。
勝ち誇ったシンゾンに、切羽詰まったピカード。
そしてピカードは、若かりし頃の自身の短所を利用して、驚きのエンタプライズタックル。
ピカードは、エンタプライズ号を自爆しようとしますが、「また、自爆かよ。ワンパターンで飽きた」とファンたちが起こっているためか、動作不良で執行できません。
想定外の打撃を受けて目が覚めたシンゾンは、エゴを捨てて、レムスの為に、さくっとセラロン砲でエンタプライズ号のクルーを全滅させたあと、地球へ攻め込むことを決めます。
それに気づいたピカードは、エンタプライズ号をデータに任せ、一人シミターに乗り込んでいき、任されたデータは、そのままディアナに責任転嫁して、ピカードを救いにシミターに乗り込みます。
シンゾンを倒してレムス船を自爆させようとするピカード。データは有無を言わせずそんなピカードを簡易トランスポーターでエンタプライズ号に戻し、爆破に巻き込まれて宇宙のチリになってしまいます。
スポーーーーック。
じゃなかった、
デーーーーーータ!
だった。
なんか、どっか、ワンパターンなネメシスでした。
最後に
映画版のTNGスタートレックは、これでおしまいです。Youtubeのトレッキーから毛嫌いされている作品で、ポジティブな評価をしているトレッキー、知らない。
気持ちは分かる。
個人的にピカードのクローンが、たぐいまれなる頭脳を活かして、恩義を感じているレムスの奴隷解放の為に立ち上がるというアイデアはとても好きなんですよね。
レムスやシミターのデザインも世界観もかっこいいし。役者さん達もチームワークでレムス文化を醸してたし、素材は良かったんだよね。
しかし、エンタプライズクルーを引き立たせる&過去作のオマージュで押しつけがましいファンサービスのために、かなりの犠牲を払って、全く乗れないストーリーになっちゃっています。
もったいないな~。
エンタプライズクルー側でも自分の短所と戦いながら、その背中を見てシンゾンもロミュランも思い直す的なストーリーだったら、同じ「売れない」にしても、納得感はあったかも。
アイデアが4.5点で、トロイ周りでマイナス2.0点、レムス&トム・ハーディ―の名演でプラス1.5点、くだらないオマージュでマイナス1.0点でトータル3.0点かな。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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