【ネタバレなし】トータルリコール (2012)、レビュー

4.0

1990年の名作SF映画『トータルリコール』のリメイクとしては、評判が悪いみたいです。「言う程悪くないじゃない?」っというのが私の率直な感想です。

世界設定には大きなツッコミどころがあるけれど、トーンや世界観は現代風で楽しかったし、プロットはオリジナルに忠実なので、アイデアの良さはそのまま残っていました。

基本情報

邦題トータル・リコール (2012)
原題Total Recall (2012)
タイプSF
公開年2012年8月29日
監督 レン・ワイズマン
脚本マーク・ボンバック
カート・ウィマー
原作者フィリップ・K・ディック
おすすめ度4.0 (1~5点)

トレーラー

ストーリー

化学汚染され、「居住可能なエリア」が最も貴重な資源となった地球。

富裕層が住む「ブリテン連邦」と貧困層が住む「コロニー」の間を地球の中心を貫通する巨大エレベーターが建設され、「コロニー」の労働者はこの巨大エレベーターを通って通勤する。

この植民地の労働者ダグは、息苦しい日常から脱出するために、記憶を塗り替えることができる「リコール社」へ訪れ、刺激に満ちた過去の記憶を埋め込もうとした途端、事故が起き、現実が一点したのか、夢から出られなくなったのか分からなくなる。

脚本・世界観

First things first.

「流石にそれはないんじゃない?」っと思ったのが、「The United Federation of Britain」と「The Colony」の設定が、イギリスとオーストラリアであること。

お金持ちの白人が住まうイギリスと、小汚くごった返した中華系アジアテイストのオーストラリア…

おい!

まぁ、このご時世によくもこんな設定にしたものだと、失笑しました。

それをのぞけば、

居住区が限られているので、町の作りが複雑で、やたら縦長だったりしてSFらしい世界が作られていました。特に「コロニー」の方では、SFアクションゲームで動き回ることが出来たら「絶対に迷う!」っと断言できるごちゃごちゃっぷりで、探索すると楽しそうな街でした。小汚いケド。

さらにイギリスとオーストラリア間の地球の中心を貫通するエレベーター「フォール」は斬新!

差別的設定を除けば、かなり楽しい世界感でした。

登場人物

1990年のアーノルド・シュワルツェネッガーが演じた主人公が好きな人たちからは評判が悪かったようですね。

主人公は現実に息苦しさを感じている労働者なので、暗く手堅くまとめたコリン・ファレルの演技は、ぐっと共感できて、いいと思うけどな…

主人公の妻の役のケート・ベッキンセールが猛烈にかっこよかった。この人の吹っ切れたメリハリのある演技がこの映画に大きな魅力をつけ足していました。監督の奥さんなのに、全くチャラチャラしてない身を捨てたガチアクションで素晴らしい!

ヒロイン、その他サポートも手堅い演技でした。

アクション

ケート・ベッキンセールのアクション美は堪能できましたが、アクションはちょっと充実しすぎていたかも。

肉弾戦のアクション、ごちゃごちゃした街並みを活かした逃亡劇、縦長の街を存分に活かしたシティーチェイス、地球貫通エレベーターの中での近未来バトル。遊びたいからゲームにしてほしい。

どれも面白かったんですが、映画としては、いちいち尺が長くて、くどい。ちょっとずつ削って、ストーリーの補完に使ってくれたらバランスがいいカモ。

映像美

レン・ワイズマン監督の映像って、どれもクリアでスタイリッシュですが、本作も十分に映像美を味わえます。暗い色調のシーン、明るい色調のシーンの両方をカラフルに見せてくれます。「暗いカラフル」って独特の雰囲気があっていいです。

ただ、個人的にあまり好きではない「レンズフレア」を採用していて、不要に眩しい場面もありました。

音楽

音楽は、ハリー・グレッグソン=ウィリアムズが担当しています。個人的には台詞が聞こえなくなるほどの効果音やBGMを使わない音楽担当はみんな好き!

無音、効果音、ムード音の音量感覚がスゴイ好き。

最後に

イギリスとオーストラリアの差別的世界設定を除けば、いい出来栄えのSFで、過去作と比較してケチをつけられるのが気の毒になる良作でした。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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