スタートレック I、レビュー【後半ネタバレあり】

3.0

『スタートレック I』は、1979年の作品で、2020年現在とは映画の「魅せ方」が、かなり違います。

ストリーミングサービスで鑑賞したのですが、演出をダウンロードエラーかと誤解して、設定ボタンを確認する場面が数回ありました。笑。

冒頭、ブラックスクリーンに音楽だけが流れるのですが、それが長すぎて有機EL画面で見ていると画像が映し出されないエラーかと思いましたし、日本語訳がとても少ないシーンも多く、読み込みエラーだと思って、再起動したりもしました。

ストーリーのテンポがゆっくり(=丁寧)だし、音楽だけで「じっくり魅せる」シーンが多く、やたらもったいぶった印象を残しました。

良くも、悪くも、SFとしての想像力と演出力の「古さ」を新鮮に楽しめる作品でした。

基本情報

原題Star Trek: The Motion Picture
邦題スタートレックI
タイプSF
公開日1979/12/07
監督ロバート・ワイズ
脚本ハロルド・リヴィングストン
原作者ジーン・ロッデンベリー
おすすめ度3 (1~5点)

トレーラー

あらすじ

宇宙空間に現れた巨大なエネルギー雲状の物質が地球へ向かって進行しており、地球にとっての脅威となりつつあるなか、提督となってスペースシップでの勤務から離れていたカークは、この機を利用して、エンタプライズ号に最新システム導入した功労者であるデッカーから船長の座を奪い取り、強引に旅に出る。

(中心人物に共感できないって、新鮮。)

脚本、世界観

テレビシリーズの映画化ということもあって、「宇宙冒険譚」としての世界設定は確固としていましたが、押しつけがましいファンサービスが見え隠れして、少々きつかったです。

初めてみる人の方が素直に鑑賞できて、いいかも。

冒頭のクリンゴン船が未知の現象に魚雷を打ち込んでみるシーンでは、「好戦的なクリンゴン文化」と「論理的かつ友好的な宇宙連邦文化」の対比を描きたかったのかもしれませんが、「初めて見る入道雲に取り敢えず魚雷を打ち込んでみる野蛮人」的な描写は「他人を落とすことで自分を良く見せる」風で、ドン引きでした。

SF作品としてのストーリー部分は、「未知の脅威」が「いきなり攻撃してくる巨大宇宙船」や「分かりやすく悪者っぽい外見の宇宙人」ではなく、「巨大かつ強力すぎて、捉えどころのない宇宙現象のようなものの解明」から始まっており、新鮮でした。

「良いものか、悪いものか、判断がつかないけど、巨大すぎるハリケーンはいずれにせよ怖い。さてどうする?」的な脅威です。

登場人物

カーク、スポック、ボーンズの三羽烏に、スコット、スールー、ウフーラ、チェコフというドラマの主要クルーが揃い踏み。スコットランド人、アジア人、黒人女性、ロシア人で構成されたサポート陣は、今ではポリコレ的に「あちこちに気を遣った配役」とみなされますが、当時は前衛的だったそうです。

常連メンバーは、自分の役柄が身に馴染んでおり、シリーズとしての世界観を更に強固なものにしていました。同時にカークがミドルエイジクライシス的なモノにかかっていたり、スポックが「理論派」を極めるために極限まで感情を抑えていたことでクルーと仲良くしなかったり、離れている間に変化も起きていて、ともに活動しながらそれぞれが「よりよい」人間性を育てて行くとこなんかも見どころです。

この映画の新入メンバーは、デッカーとアイリーア。未来感と異星人感を出すための「スキンヘッド」美女、アイリーアの美しさたるや、もうね。

古今問わず美しいよね、インド人。って感じでした。

アクション、笑い

アクションは殆どありません。そこが逆に新鮮な作品です。唯一、スポックの「バルカンピンチ」は、スマートで今でも好かれそう。

ボーンズの皮肉をはじめとした各メンバーの個性を活かしたウィットには、ニヤリとさせられる場面が多く、流石って感じでした。

映像

1979年のSF作品を見ている事さえ認識していれば、「その時代にこんな映像が作れたんだ~」っと、逆に新鮮。

なんですが、気分を盛り上げる音楽を延々と流しながら、だらだらと宇宙船を出向させるような「魅せる」演出がくどい…かも。

以下、ネタバレ注意。

コメント

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