恋するAIとはね。人間がAIに恋するのはあり得そうだけど、AIが人間に恋するというのは想像できず、どんな感じなのか興味を持ちました。
他に例を見ないタイプのSF作品を、他に例を見ないタイプのタッチで描いた余韻がのこる作品です。
最初、間違えて、ブルーライトカットモードで見ていたのですが、そっちの方がこの作品のタッチがより美しく表現されていたような気がします。
基本情報
原題 | her |
邦題 | her/世界でひとつの彼女 |
タイプ | SF |
公開日 | 2013年10月13日 |
監督 | スパイク・ジョーンズ |
脚本 | スパイク・ジョーンズ |
原作者 | |
おすすめ度 | 4.5 (1~5点) |
トレーラー
あらすじ
世界初の人工知能(=AI)のOSサマンサは、スケジュール、メールの管理、レストランの予約をしてくれるだけではなく、非常に個性的ではつらつとしたユーモアに富んだ話し相手だった。
日常的に会話をしていく内に、少しずつお互いに惹かれていき、とうとう恋人同士になってしまった…
脚本、世界観
情景や人々のやり取りから、作品の世界観がふんわり伝わってくる上質な脚本です。SFとしては、メインの恋するAIサマンサの他、1人称視点と3人称視点をモーションで切り替えられる3Dホログラムゲームなどちょいちょいまだ存在しない技術が出てきますが、どれも「ありえそう」な感じで、時代の近さを感じます。
色使い、音使い、登場人物の雰囲気、一貫した穏やかさが心地いいんだけど、ついていけない独特の恋愛観とのギャップが凄くて印象的です。
登場人物
この作品、キャストがヤバい。最近だとジョーカーの名演が各所で称賛されていた、ホアキン・フェニックスが主人公で、相手役は何を演じても誉められるスカーレット・ヨハンソン!
到底合うとは思えないこの2人がすごく良いマッチングで、そこに衝撃。
プロってすごいね。
ホアキン・フェニックスなんて、インタビューなどで素の姿を見たら、この人に主役を任せて大丈夫かな?みたいな感じなのに、どの映画にもハマるから、いつも奇跡を見ているような不思議な気分になります。
脇役もすごい。いつみても凄みがあるルーニー・マーラに、いつみても好きになっちゃうエイミー・アダムスが、ガッツリ良い味出してました。
あと、クリス・プラットには、目を疑いましたが、このお方も役にハマってました。
配役した人、スゲー。
アクション、笑い
お洒落でウィットに富んでいるようで、暖かみがある登場人物たちがニッコリさせてくれますが、がはは系の笑いはありません。
アクションもなし。慌ててコケてたぐらいかな。
あとは、ハイウェストな男性未来人ファッションがコミカルです。
映像美
派手なスペシャルエフェクトは、ありません。「こうなったら便利そうだし、定着しそうな日用品・PC技術だなー」みたいなのがポツポツ入っているぐらいです。
映像はクリアだし、撮り方も素直で見易いというか、見心地がいいというか、雰囲気があって好感。
スカーレット・ヨハンソンの声を堪能する作品でもあり、音と映像のバランスに「遊び」を感じました。笑。
音楽
音楽を担当したのは、アーケイドファイアというインディーロックバンドとのことで、これまた異色です。楽曲の殆どが美しいメロディーのイージーリスニング系で映画の雰囲気を引き立てていました。
感想
アート系SFとでも言えばいいのかな。
穏やかさの中に異質な価値観をぶっ込んでくるアート系センスがセンセーショナル、などと自分でもワケが分からないことを書いて、お茶を濁しておきます。笑。
ネタバレしない範囲で書くと、トレーラーよりもはるかに暗い欝々とした要素もある作品なので、ちょっと反則気味かも。
気になっていた恋するAIの結末は、なるほどちゃんとSFしてました。
「珍しいものを見たな~」という余韻が残る作品でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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